ポートステートコントロール(PSC)とは、寄港国が、国際条約に基づき、自国に入港した外国船舶に対し、人命の安全や環境の保全を目的とした立入検査により基準適合性を確認する制度で、重大な欠陥が確認された場合には出港前にこれを是正させるなど旗国政府の機能を補完するものです。
当センターでは、東京MOU事務局(注1)からの委託をうけ、ポートステートコントロール検査官一般研修の実施支援業務を行っています。
本研修では、これまで、国土交通省海事局及び地方運輸局のご協力のもと、日本財団の支援を得て、東京MOU域内のPSC検査官を日本に招へいし、能力の向上や検査手順の調和を図るため、PSCに係る職員が最低限有するべき知識に関する座学および実船訓練を行ってきました。
しかしながら、新型コロナの感染拡大による海外渡航制限のため2020年度・2021年度は研修の開催を見送り、2022年度については、研修員が来日して行う研修開催に代えて、インターネットを利用した「遠隔研修」として、東京MOU域内の国々に加え、他地域のMOUからも代表者が参加し、外国勢23名(23の国・地域(注2))と我が国の地方運輸局外国船舶監督官3名の総勢26名を対象に、2022年8月8日から8月24日までの間、各国の研修員とインターネットで結び、研修を実施しました。
なお、本研修の実施にあたり、ご協力頂いた国土交通省海事局、地方運輸局外国船舶監督官並びに遠隔(リモート)研修の技術的サポートを頂いた富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社等、関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。
(注1)東京MOU事務局(公益財団法人東京エムオウユウ事務局)
PSCの実施は地域的に取り組むことが有効であることから、IMOにおいて1991年に「PSCに関する地域協力の促進に関する総会決議」が採択され、これを踏まえ、1993年12月、東京にて、アジア太平洋地域におけるPSCの地域協力に関する合意(東京MOU)がなされ、事務局は東京に置かれている。
(注2)カンボジア、チリ、中国、フィージー、韓国、マカオ(中国)、マレーシア、マーシャル諸島、ニュージーランド、パナマ、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、ソロモン諸島、タイ、バヌアツ、ベトナム、ウクライナ、スリナム、バングラデシュ、マルタ、サウジアラビアの国・地域
(研修・技術支援室)