メガフロートは、海の中に建設されますから、当然波を受けます。この波の中で、揺れて船酔いしないかという疑問をお持ちの方も多いと思います。しかし、メガフロートは、その名前のとおり、巨大なるがゆえに揺れません。一般に、小さな船より、大きな船のほうが揺れないことは、皆さんも経験されていることと思います。これは、波長に比べ浮体の長さが長いほどたくさんの数の波を受けるため、持ち上げようとする力と引き下げようとする力が、互いにその力を消しあってしまうからです。そのため、メガフロートでは、波による上下動も回転も起こりません。
それでは、メガフロートは、まったく動かないのでしょうか。実は、ほとんど感じないのですが、ひそかにゆっくりと震えています。メガフロートは、鋼鉄でできていますから、バネのようにしなやかです。波は、海の水が振動している現象ですから、波の振動は、メガフロートに伝わり、メガフロートもそれに応じて振動するのです。我々はこの現象を弾性応答と呼んでいます。これは、ちょうど超高層ビルが、地震のエネルギーをそのしなやかさで吸収してしまうのに似て、メガフロートは波のエネルギーを、そのしなやかさで吸収してしまうのです。 この原理は、以前からわかっていたことなのですが、水に浮かび水とともに動くメガフロートの動きを正確に把握することは、空中にある超高層ビルの動きよりもはるかに複雑で、これまでは計算できませんでした。しかし、メガフロート技術研究組合では、このための技術開発に多くの時間と労力を投入し、今では国際空港もできるほど大きなメガフロートの計算までできるようになったのです。コンピュータのめざましい進化のおかげでもありますが。下の図は、右斜め方向から波がきた場合のメガフロートの動き(振動の様子)を計算した結果の一例です。防波堤の影響も計算されています。 |